松の手入れ
自宅の庭でひときわ存在感を出している松の木。
どうやらクロマツというらしい。 でもそこまで。 そこから先は何も知らない。
ただ、昔から大切にしていた木だ、という事を知っているだけ。
でも、これだけは何とかちゃんと生かしたい。
取り返しのつかない失敗を犯してしまう前に巡り会えたのかもしれません。
ここでは、松の手入れを何となくやってはいけない理由を書いていきたいと思います。
なんとなく手入れではダメな
3つの理由

①
切った枝は二度と復活しない
庭木でも雑木と呼ばれるケヤキとかモチノキとかヤマボウシとかは、芽を出す力が物凄く強いので、例えば幹の真ん中で両断しても、たいていの場合はその切り口脇から芽を出してきます。
しかしマツはそういう強い萌芽力を持たないので、うっかり切り過ぎてしまうと、二度とそこから芽を出させて再生する事ができません。
ですから、この枝はコッチへ伸ばそうかな?アレはアッチへ。などと構想があったとしても、パチンと切られてしまえばそれまで。
二度とその感じに戻す事は出来ないのです。
難しいのではなく、不可能なのです。
②
小さな良い芽が無くなってしまう
マツの成長過程として徐々に徐々に外へ外へと芽を伸ばし、伸ばした芽を枝にして、また外へ伸ばし、というサイクルの繰り返しで成長しています。
庭木として、その場に丁度いいサイズでそこに維持されるにはそれ相応の準備が必要になってきます。
①でご説明したように伸びてきたからと枝を落としてしまっては、二度と再生しませんし、しかし枝は徐々に外へ上へと伸びていきます。
この時、必要になってくるのが切り戻しと呼ばれる作業で、枝の先端ではない部分に小さく出ている芽を活かして、そこまで枝を戻します。
それを毎年繰り返す事で、年々大きくなっていくのを防いでいる。そういう側面もあります。
③
上手い下手がハッキリ出てしまう
1と2が取り返しがつかない大きな要因なのですが、これを知らないまま繰り返していくと、もう誰の目にもハッキリと不格好だなと分かってしまう形になってしまいます。
プロの庭職人も若手の経験の少ない人には松は触らせないというのが一般的です。
出来がいいな、よくやっているな、という職人でも他の木はバンバンやらせても、松の木だけはなかなか触らせてもらえませんでした。
松の種類

黒松
広く日本の沿岸部に自生しているマツです。
防風林として植林されている地域もあります。
他のマツと比べて幹が黒っぽい色をしている事からクロマツと呼ばれています。
また、力強い雰囲気が男性をイメージさせていた事から「雄松(おまつ」とも呼ばれています。
5月~6月頃に新芽を手で摘んだりハサミで落としたりする「芽摘み」を行い強い芽が1本だけ出るのを防ぎ、冬に細かく出た芽を整理して理想の樹形に近づけていくのが一般的な剪定方法です。
夏1回、秋1回など、年に1回の剪定方法で実施しているお宅もあります。

赤松
内陸部に広く自生しています。
マツタケの「マツ」は、このアカマツになります。
他のマツに比べて幹が赤い色をしている事からアカマツと呼ばれています。
また、葉に手で触っても痛くない柔らかい雰囲気が女性をイメージさせていた事から「雌松(めまつ)」とも呼ばれています。
萌芽力が弱いわけではないのですが、あまりハサミに強くなく、剪定を繰り返していると弱ってしまう事が多いので、あまり手入れをせずに野趣あふれる雰囲気を楽しむ使い方を庭ではします。
マツクイムシの被害にあいやすいマツで、近年その数を急速に減らしていますので、庭に大きなマツがある方は貴重な庭木として大切にして頂きたいと思います。

五葉松
日本の、比較的南部(本州南部・四国・九州)に自生しています。
よく見ると1ヶ所から5本の葉が伸びている事からゴヨウマツと呼ばれています。
銀色掛かった葉がとてもキレイなので庭によく植えられてきましたが、一方で成長がとても遅く、なかなか大きくならないので、大きなゴヨウマツはとても希少価値が高いと言われています。
クロマツと同様の時期に剪定管理することが多く、冬に手入れを行うことが一般的です。
放っておくと枝葉がギッシリと密集してきて様々な病気を引き起こしたり害虫の温床となったりしますので、可能な限り手入れを行うことが庭全体にとっても良い事になると思います。
家人が大切に育ててきたマツ。
それが訳あって継続して手入れをする事が難しくなってしまうなんて言うお話を、最近よく聞きます。
庭木の中でも特にマツは、日本人にとって特別な存在です。
門松の松がなぜめでたいかと言うと、松は常盤木(ときわぎ)と言って常に青々としていますので、
永遠を象徴する木として遥か昔から愛されてきました。
そのうえ、立派な形状に育て上げるのには、それこそ数年ではとても無理です。
10年以上の期間で育成する覚悟が必要なのです。
そんな丹精込めて作られたマツが、何かの縁あって貴方のお宅に行き、
少なくとも可愛がってもらいながらここまでの年月を過ごしてきた。
それをチェンソーでブーンと切ってしまうのは本当に一瞬。 何もかも一瞬で終わってしまうのです。
植木屋として、心が痛いのです!
何とかしなければと思うのです!
せめて、伐採してしまう前にお声掛けください。
将来を見越したお話もさせて頂きながらより良い道を探っていければと思います。
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